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2026/07/21

副業者向け

令和 8 年度税制改正による副業への税金| 178 万円と 489 万円の境界線を徹底解説

令和 8 年度税制改正による副業への税金| 178 万円と 489 万円の境界線を徹底解説

令和 8 年( 2026 年)の税制改正により、会社員や副業をしている人に関係する所得税のルールが大きく変わりました。今回の改正では、所得税の非課税ラインが給与年収 178 万円まで引き上げられています。これにより、副業やアルバイトで収入を得ている人は、以前より税負担を抑えながら働きやすくなりました。

また、所得が一定額を超えると、受けられる控除額が減少する仕組みも導入されています。その結果、収入が少し増えただけでも税負担が増えるケースがあるため、注意が必要です。

あわせて、青色申告特別控除の拡充や少額減価償却資産の特例(取得価額の上限が 30 万円未満から 40 万円未満へ拡大)、年末調整・確定申告に関するルール変更も進んでいます。すでに施行された令和 8 年度税制改正の新制度を、ポイントごとにおさらいしていきます。

副業をしている会社員と所得税の基本

副業をしている会社員と所得税の基本

所得税の計算では、まず「収入」と「所得」の違いを理解しておく必要があります。収入とは会社から受け取る額面給与や副業による売上の総額を指し、所得とはそこから必要経費(または給与所得控除)を差し引いた金額です。所得税はこの所得をもとに計算されます。

収入 会社から受け取る額面給与や、副業による売上の総額
所得 収入から必要経費を差し引いた金額

副業をしている会社員の場合、本業の所得と副業の所得を合算した「合計所得金額」が税額の計算基準になります。今回の令和 8 年度改正では、この計算に使う 2 つの控除額が見直され、手取り額に直接影響する内容となりました。

【令和 8 年度税制改正の目玉】所得税の非課税ラインが「給与年収 178 万円」に!

【令和 8 年度税制改正の目玉】所得税の非課税ラインが「給与年収 178 万円」に!

令和 8 年度改正の大きな変化は、所得税がかからない給与年収の目安が大幅に引き上げられた点です。ここ数年は特に物価上昇の影響を考慮し、税負担を軽減するための改正が段階的に進められてきました。

所得税非課税ラインの推移

まずは、ここ数年で所得税がかからない非課税ラインがどのように推移してきたかを確認しましょう。

年度 非課税ライン
(給与年収の目安)
令和 6 年まで 103 万円
令和 7 年 160 万円
令和 8 年・令和 9 年 178 万円

非課税ラインは、令和 6 年までは長らく 103 万円が基準とされてきましたが、令和 7 年度の改正で 160 万円へと引き上げられ、さらに令和 8 年度改正では 178 万円へと枠が拡大されました

178 万円という数字になった理由は、「給与所得控除」と「基礎控除」という 2 つの控除額が今回の税制改正で引き上げられたためです。令和 8 年・令和 9 年は、給与所得控除 74 万円と基礎控除 104 万円を合わせた 178 万円分まで、所得税の対象になりません。つまり給与年収 178 万円以下の場合、所得税が発生しないことになります。

なお、配偶者控除や扶養控除の対象となるかどうかの判定基準は、本人の非課税ラインである 178 万円とは別です。令和 8 年分からは、配偶者や扶養親族の合計所得金額の要件が 62 万円以下(給与収入のみの場合の目安 136 万円以下)に引き上げられました。配偶者のパート収入や子どものアルバイト収入にも影響する改正のため、家族全体の働き方を確認しておきましょう。

給与所得控除の改正内容

会社員にとっての経費にあたる「給与所得控除」の最低保障額が、現行の 65 万円から 74 万円へと引き上げられます。

令和 8 年・令和 9 年分の給与所得控除額

 

給与等の収入金額 改正後
令和 8 ・ 9 年分
改正前
190 万円以下 74 万円(一律) 65 万円

給与年収が 190 万円以下の場合は、一律 74 万円を差し引くことができます。これにより給与所得に対する課税所得がこれまでより少なくなり、税負担が軽くなりました。

基礎控除の改正内容

基礎控除とは、所得のある人なら原則として誰でも受けられる控除です。令和 8 年・令和 9 年は、物価高騰対策として基礎控除額が大幅に引き上げられました。

合計所得金額 給与のみの場合の収入目安 令和 8 ・ 9 年分 令和 10 年以後
132 万円以下 206 万円以下 104 万円 99 万円
132 万円超 336 万円以下 206 万円超 475 万 1,999 円以下 104 万円 62 万円
336 円超 489 万円以下 475 万 1,999 円超 665 万 5,556 円以下 104 万円 62 万円
489 万円超 655 万円以下 665 万 5,556 円超 850 万円以下 67 万円 62 万円
655 万円超 2,350 万円以下 850 万円超 2,545 万円以下 62 万円 62 万円

令和 8 年・令和 9 年分の基礎控除は、合計所得金額 489 万円以下の層で一時的に控除額が大きくなります。ただし、令和 10 年以降は控除額の上乗せが一部縮小されるため、同じ所得水準でも適用される基礎控除額が変わる点に注意が必要です。

注意ポイント!所得 489 万円を超えると基礎控除額が大きく変わる

注意ポイント!所得 489 万円を超えると基礎控除額が大きく変わる

今回の改正で特に注意したいのが、合計所得 489 万円を超えた場合に、基礎控除額が大きく減少する点です。本業と副業の所得を合計した金額が 489 万円以下であれば、 104 万円の基礎控除を受けることができます。しかし、所得が 489 万円を超えると、基礎控除額は 67 万円へと 37 万円減少します。つまり、所得がわずかに増えただけでも、課税対象となる所得が増える仕組みなのです。

控除額が 37 万円減少すると、所得税率 10 %の人であれば約 37,000 円、税率 20 %が適用される人であれば約 74,000 円の負担増です。さらに住民税にも影響するため、実際の負担増はそれ以上になるケースもあります。

副業収入が増えてきた人は、売上だけではなく「合計所得金額」を正確に把握しておくことが重要です。特に、必要経費の計上漏れがあると、本来より所得が大きくなり、基礎控除額の減少につながる可能性もあります。

計上できる支出や家事按分など、こちらの記事も参考にしながら正しい記録方法を押さえておきましょう。

関連:【副業の経費】計上できる支出・家事按分・正しい記録方法を解説

青色申告特別控除の拡充とデジタル化

青色申告特別控除の拡充とデジタル化

副業を事業所得として申告している人には、青色申告特別控除の拡充が大きなメリットになります。政府のデジタル化推進を背景に、これまで最大 65 万円だった控除枠が、一定の条件を満たすことで最大 75 万円に引き上げられます。ただし、この 75 万円への拡充は令和 9 年分(令和 10 年 3 月申告)からの適用となる点に注意が必要です。

申告年度 最大控除額
令和 8 年分(令和 9 年 3 月申告) 65 万円(現行通り)
令和 9 年分(令和 10 年 3 月申告)以降 最大 75 万円

また、今回の見直しはメリットばかりではありません。改正後は期限内の e-Tax 提出が 65 万円控除の基本条件となり、書面(紙)で提出した場合の控除額は最大 10 万円まで縮小される方向です。これまで紙の申告で 55 万円控除を受けてきた人は、控除額が大きく減る可能性があるため、 e-Tax への移行準備を早めに進めましょう。

75 万円控除を受けるための条件

最大 75 万円の控除を受けるためには、 e-Tax による電子申告に加えて、「優良電子帳簿の保存」が条件となります。優良な電子帳簿とは、訂正・削除の履歴が残ること、帳簿間で記録の相互関連性が確認できること、日付や金額で検索できることなど、電子帳簿保存法が定める一定の要件を満たした帳簿を指します。

クラウド会計ソフトの多くがこの要件に対応しているため、今のうちに導入して正確なデジタル記帳の習慣をつけておくとよいでしょう。青色申告特別控除を活用するためには、青色申告と白色申告の違いを理解し、青色申告を利用するための事前準備が必要です。詳しくは下記の記事を参考にされてください。

参考:副業初心者のための確定申告ガイド 青色申告と白色申告の選び方と賢い節税術

少額減価償却資産の特例が「 40 万円未満」に拡大

青色申告で副業をしている人にとって、もう一つ見逃せないのが「少額減価償却資産の特例」の拡充です。これは、青色申告を行う中小企業者等(青色申告書を提出する個人事業主を含む)が、一定金額未満の備品などを購入した際に、本来は数年に分けて減価償却するところを、取得した年に全額を必要経費として計上できる制度です。

具体的な影響

令和 8 年度税制改正により、この特例の対象となる取得価額の上限が、これまでの 30 万円未満から 40 万円未満へ引き上げられました。この新しい基準は令和 8 年 4 月 1 日以後に取得した資産から適用されています。

 

項目 改正前 改正後(令和 8 年 4 月 1 日以後取得)
1 点あたりの取得価額の上限 30 万円未満 40 万円未満
年間の合計上限額 300 万円 300 万円(変更なし)
対象者 青色申告の中小企業者等(従業員 500 人以下) 青色申告の中小企業者等(従業員 400 人以下に縮小)

1 点あたりの上限は引き上げられましたが、年間の合計上限額は 300 万円のまま据え置きです。また、白色申告の場合はこの特例を使えません。副業を青色申告の事業所得として申告している人が対象になります。

生産性を高めるためのより効果的な投資ができるように

今回の拡大で実務的にメリットが大きいのが、これまで「 30 万円を少し超えるから対象外」だった機器を、一括で経費にできるようになった点です。副業の生産性は、使う機材に左右される場面が少なくありません。たとえば次のようなケースです。

  • メモリや CPU 性能の高い PC に買い替えることで、動画編集やデータ処理の待ち時間が短くなり、同じ作業時間でこなせる量が増える
  • メモリ容量の大きい機種を選ぶことで、生成 AI やローカルで動かすツールを快適に動作させやすくなり、文章作成・画像生成・コード補助といった AI を活用した作業の効率が上がる
  • 複数のアプリやブラウザタブを同時に開いても動作が重くならず、作業の中断が減る

こうした 30 万円台の高性能 PC は、これまでは購入年に全額を経費にできず、数年に分けて減価償却する必要がありました。改正後は、青色申告であれば取得した年に全額を必要経費として計上できるため、設備投資の判断がしやすくなっています。

ただし、経費として認められるのはあくまで事業(副業)に使う資産です。プライベートと兼用する場合は、事業で使う割合(事業按分)に応じた金額のみが対象になります。「経費にできるからお得」という理由だけで不要な機材を買うのではなく、副業の生産性向上に本当に必要かどうかで判断することが大切です。

なお、副業における減価償却に関しては、こちらの記事でも解説しています。あわせて参考にしてみてください。

参考:【 2026 年税制改正対応】副業の減価償却とは? 10 万・ 20 万・ 40 万円の基準と中古資産・家事按分まで解説

改正スケジュールと手続きの注意点

令和 8 年度の新しい税制ルールは、令和 8 年( 2026 年) 1 月 1 日から 12 月 31 日の所得に対して適用されます。実際に影響が出る主なタイミングは次の通りです。

 

時期 手続き 内容
令和 8 年 12 月 年末調整 勤務先での年末調整に新しい基礎控除( 104 万円)・給与所得控除( 74 万円)が適用されます。扶養控除等申告書の記入も新基準に基づきます。
令和 9 年 3 月 確定申告 副業収益の申告時に拡大された控除枠を適用し、最終的な所得税額を確定します。青色申告特別控除はこの年まで最大 65 万円。
令和 10 年 3 月 確定申告 青色申告特別控除が最大 75 万円に拡充。
e-Tax 申告+優良電子帳簿の保存が条件。

令和 8 年度の税制改正は、多くの人にとって手取りが増えるチャンスである一方、合計所得 489 万円のラインや青色申告控除の適用時期など、見落としやすいポイントも含んでいます。改正内容を正しく理解し、年末調整と確定申告の両方を適切に行うことで、税負担を最小限に抑えましょう。日々の収支を整理し、クラウド会計ソフトによるデジタル記帳の習慣を今から整えておくことが、令和 9 年以降の節税にもつながります。

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