ブログ

2026/10/22

副業者向け

副業の開業届は出すべき?損しない提出タイミングと注意点を徹底解説

副業の開業届は出すべき?損しない提出タイミングと注意点を徹底解説

副業を始めた会社員が悩む問題のひとつが「開業届を提出すべきかどうか」です。「提出すると手続きが複雑になるのでは」「まだ稼げていない段階で出す意味はあるのか」といった疑問をお持ちの方も多いでしょう。

実際には、開業届には税制上の大きなメリットがある一方で、生活防衛の面では注意すべきデメリットも存在します。本記事では、開業届の基本的な仕組みから個人事業主と法人の違い、提出するメリット・デメリット、副業会社員が損をしない提出タイミングまでをわかりやすく解説します。

副業の開業届とは?会社員でも提出できる基本知識

副業の開業届とは?会社員でも提出できる基本知識

開業届の正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」です。新たに事業を始めた個人が、納税地を管轄する税務署に事業開始の事実を申告するための書類です。開業届の提出期限は、原則として事業開始から 1 カ月以内です。期限を過ぎて提出した場合でも罰則はありませんが、初年度から青色申告の特典を受けるためには注意が必要です。「所得税の青色申告承認申請書」は原則として開業日から 2 カ月以内に提出する必要があるため、青色申告を予定しているなら開業届も早めに提出しましょう。

提出の際は、開業届と「所得税の青色申告承認申請書」を同時に e-Tax でオンライン提出することをおすすめします。 e-Tax で提出すると、送信後に「受信通知( PDF )」が発行され、これが開業の公的な証明として活用できます。 2025 年 1 月以降は税務署窓口への紙の提出では受付ハンコが押されなくなったため、 e-Tax による提出が最も確実な方法です。

個人事業主と法人の違いを比較

個人事業主と法人の違いを比較

開業届について理解したところで、次に気になるのが「個人事業主として活動するべきか、それとも法人化すべきか」という点です。まずは両者の違いを整理しておきましょう。

比較項目 個人事業主(開業届の提出) 法人(会社設立)
初期費用 無料( 0 円) 最低約 20 万円以上(合同会社は約 6 万円以上)
手続きの複雑さ 税務署への届出のみ 法務局での登記手続きが必要
赤字時の税負担 原則なし(所得に応じた課税のみ) 毎年最低約 7 万円の法人住民税均等割が赤字でも発生
確定申告の複雑さ 個人としての確定申告(青色または白色) 複雑な法人税申告(税理士への依頼を推奨)

法人設立は社会的信用を得やすい反面、設立にかかる費用や毎年の事務負担が大きくなります。会社員が副業としてスタートする段階では、費用ゼロで手続きできる個人事業主からはじめるのが現実的な選択です。個人事業主として事業が軌道に乗り、売上規模が拡大してきた段階で法人化を検討するとよいでしょう。

副業で開業届を提出するメリット

副業で開業届を提出するメリット

個人事業主として開業届を提出すると、さまざまな税制上のメリットを受けられます。なかでも大きいのが、確定申告で青色申告を選択できるようになる点です。

青色申告特別控除で最大 65 万円の節税

青色申告を行うことで、事業所得から最大 65 万円を控除でき、大きな節税効果が期待できます。この制度を利用するには「所得税の青色申告承認申請書」の提出が必要です。申請は原則として開業日から 2 カ月以内という期限があるため、開業届と併せて早めに提出しましょう。なお、開業届に記載する「開業日」を 2 カ月以上過去の日付にしてしまうと、初年度の青色申告が受理されない可能性があるため、日付設定には注意が必要です。

副業初心者のための確定申告ガイド 青色申告と白色申告の選び方と賢い節税術

赤字を給与所得と相殺できる(損益通算)

副業初期の設備投資などで赤字が出た場合、その損失を本業の給与所得と相殺(損益通算)することで、源泉徴収された所得税の還付を受けられます。さらに青色申告をしていれば、相殺しきれなかった赤字を翌年以降 3 年間にわたって繰り越すことも可能です。

屋号付きの銀行口座が利用できる

開業届を提出すると、店舗名や事務所名といった屋号の付いた銀行口座を開設できます。取引先からの信頼度が高まり、事業としての実態を示しやすくなります。

副業で開業届を提出するデメリットと注意点

副業で開業届を提出するデメリットと注意点

税制上のメリットが多い一方で、開業届の提出には生活防衛の観点から注意すべきデメリットもあります。メリットだけに目を向けず、自分の状況に照らしてリスクを事前に把握しておきましょう。

失業保険が受給できなくなる可能性

会社を離職した際にハローワークから支給される基本手当(失業手当)は、「働く意思と能力があるにもかかわらず就職できない状態」にあることが条件です。開業届を提出して事業に専念する場合、基本手当は受け取れません。

なお、開業届を提出していても、再就職の意思があり求職活動の実態があれば、受給できる場合があります。

実際に、厚生労働省の「雇用保険に関する業務取扱要領」には、次のように記載されています。

内職、自営及び任意的な就労等の非雇用労働へ就くことのみを希望している者については、労働の意思を有するものとして扱うことはできない。
ただし、求職活動と並行して創業の準備・検討を行う場合にあっては、その者が自営の準備に専念するものではなく、安定所の職業紹介に応じられる場合には、受給資格決定を行うことが可能となるので留意すること。

ここで、自営業の開業に先行する準備行為であって事務所の設営等開業に向けた継続的性質を有するものを開始した場合は、原則として、自営の準備に専念しているものと取り扱うこと。

一方で、事業許可取得のための申請手続、事務所賃借のための契約手続等の諸手続(当該諸手続のための書類の作成等の事実行為を含む。)を行っているに過ぎないような場合は、その行為が求職活動の継続と両立しないようなものでないかどうかについて、個別具体的な事情を勘案して判断すること。

出典:厚生労働省 「雇用保険に関する業務取扱要領」

つまり、開業届を出している状態でも、要件を満たせば失業保険は受給できます。ただし、事業への従事状況(週 20 時間以上など)によっては就業とみなされることもあり、失業手当が受給できなくなる可能性もあります。判断はハローワークごとの個別審査によるため、不明点がある場合は事前に相談しておきましょう。

帳簿管理や確定申告の負担が増える

青色申告特別控除を受けるためには、複式簿記に基づく帳簿の作成と貸借対照表の提出が必要です。経理の知識がない初心者には負担が大きく、クラウド会計ソフトの費用も発生します。副業の規模がまだ小さい段階では、この手間とコストに見合うメリットが得られないこともあります。

副業会社員が「開業届」を検討するタイミング

副業会社員が「開業届」を検討するタイミング

開業届の提出自体は事業を開始した際に生じる手続きですが、副業の所得が 20 万円以下の場合は確定申告の義務がないため、提出を急がないという選択をする会社員の方も多くいます。以下の基準を参考に判断してください。

所得が 20 万円を超えたら提出を前向きに検討する

副業の年間所得(売上から必要経費を差し引いた金額)が20万円を超え、取引先から継続して案件を受注できるようになった段階で、開業届の提出を検討しましょう。

なお、年間所得が 20 万円に満たない段階では、原則として所得税の確定申告を行う義務は発生しません。ただしこれは所得税のみのルールであり、住民税には 20 万円ルールがないため、副業所得が 20 万円以下でも市区町村への申告が必要な点には注意しましょう。

国税庁の通達では、副業収入が年間 300 万円以下で帳簿書類の保存がない場合、原則として「雑所得」として扱われます。ただし、複式簿記などで帳簿を作成・保存していれば、収入が 300 万円以下でも事業所得と認められる可能性があります。もっとも、帳簿があれば必ず事業所得になるわけではなく、取引の継続性・反復性や独立した経済活動としての実態も判断材料となるため、提出前に自身の副業規模を確認し、専門家への相談も行うと良いでしょう。

確定申告が必要か不要か、判断に迷うことがあるかもしれません。こちらの記事も参考にしつつ、準備を進めてみてください。

その副業、ほんとに確定申告不要?副業者が知るべきルールと住民税の落とし穴

副業の開業届は節税と生活防衛のバランスで判断しよう

副業会社員にとって、開業届は「とりあえず出せば得をする」というものではありません。副業初期で所得が小さい段階では、失業保険や扶養への影響を考慮しながら、まずは領収書管理や収支記録を整えることが重要です。

一方で、所得が安定して 20 万円を超え、継続的に案件を受注できるようになったら、青色申告による節税メリットが大きくなります。開業届を提出するかどうかは、「節税」と「生活防衛」のバランスで判断することがポイントです。焦って提出するのではなく、自分の副業フェーズに合ったタイミングを選びましょう。

副業を、もっと安心で、もっと自由に。

副業を、
もっと安心で、
もっと自由に。

あなたの経験が、次のプロジェクトを動かす力に。
今すぐ SkillCraft で新しい働き方をはじめましょう。

無料で始める