バックオフィス業務を効率化するには？具体的な方法やメリットを解説

人手・人材不足の影響や事業拡大により、

• バックオフィス業務担当者の業務負担が増えてしまっている
• 専門的知識が必要なため、担当者に属人化してしまい業務内容がわからない

などバックオフィス業務への課題を抱える企業も多いのではないでしょうか。

バックオフィス業務の効率化に取り組むことで、企業全体の生産性向上やヒューマンエラーの抑止、コスト削減につながります。本記事では、バックオフィス業務を効率化する具体的な方法やそのメリットを解説します。

バックオフィス業務とは

バックオフィス業務とは、企業の内部で行われる支援業務全般を指します。企業のリソースであるヒト・カネ・モノ・情報を管理し、営業や製造といったフロントオフィス業務を間接的に支え、企業全体の円滑な運営に欠かせない重要な役割を果たしています。

主なバックオフィス業務は次のとおりです。

バックオフィス業務の課題

バックオフィス業務は企業の基盤を支える重要な役割をになっている一方で、どの企業も多くの課題を抱えています。

業務のブラックボックス化・属人化

バックオフィス業務は売上に直結しないため、予算の配分が後回しにされるポジションです。事業拡大をしている企業では、増えていく業務を限られた人数でこなさなければいけないという業務負担増加の問題が生じています。

経理・財務や法務の業務では、専門的な知識が必要なため特定の担当者に業務が偏り属人化する傾向があります。そのため、業務の分散や標準化ができず、業務のブラックボックス化がおきている状況です。

業務量のコントロール

バックオフィス業務は、定型業務だけでなく、イレギュラーな対応が頻繁に発生する領域です。加えて、閑散期と繁忙期の業務量の波が大きく、計画的な業務分担や人員配置が非常に難しいという課題を抱えています。

たとえば、人員を増やすとなれば、求人対応や採用後の労務手続きといった業務が通常業務に上乗せされます。また、年末調整や決算など繁忙期には膨大な業務が発生し、さらに許認可申請や補助金、法改正への対応といった突発的な業務も加わります。

バックオフィス業務における業務量の増加や属人化、ブラックボックス化といった課題を放置したままでいると、ヒューマンエラーの頻発、生産性や業務品質の低下、そして担当者不在による業務停止といったリスクに直面するでしょう。これらは、企業の信頼性や意思決定スピードにも悪影響を及ぼし、経営そのものを危うくしかねません。

バックオフィス業務を効率化する方法

バックオフィス業務の課題解決と効率化に取り組むことで、企業運営がよりスムーズになり、生産性が向上します。ここでは、バックオフィス業務を効率化するための具体的な方法を紹介します。

業務プロセスの見直し

業務プロセスの改善によって、ムダや重複作業を削減し、作業手順の標準化や効率的な流れを実現できます。業務プロセスの見直しのステップについて一例を紹介します。

• 1. 現状把握・業務の可視化

  現場のヒアリングから業務の棚卸しを行い、全体像を業務フロー図などで可視化することで現状把握をします。

• 2. 課題の洗い出し

  重複作業や非効率な業務など、業務上のムダ・ムラ・ムリの3Mを特定します。

• 3. 改善目標と改善策の立案・優先順位の設定

  課題から改善目標と改善策を設定します。改善に取り組むことでの有効性や改善にかかる期間、現実に実行可能な内容なのかを検討し、具体的なKPIと優先順位を設定します。

• 4. 改善策の実施・効果測定・フィードバック

  小さく改善策を実施していき、効果検証を繰り返します。成功事例を積み上げていくことで、経営層や現場への理解・定着を図ります。

• 5. 継続的改善・見直し

  マニュアル整備や研修で改善策の正式運用を開始し、一定期間立ったらKPIに対しての達成度を確認します。その後はPDCAサイクルを回すことで継続的な業務プロセスを見直す仕組みを整えます。

現状の業務を可視化し、課題と優先順位を明確にすることで、ブラックボックス化していた業務や改善へ向けての方向性について、社内で共通認識を持つことができます。

段階的に改善策の適用範囲を広げていくことで、従業員の意見も取り入れながら、より現実的な施策を実施できるでしょう。同時にマニュアル整備や研修を行っていくことで、属人化していた業務を標準化できます。

業務プロセスの見直しについては、担当者だけでなく直接業務に関わらない第三者を入れ、中立的な立場から課題や問題点の分析を行うことで改善を進めやすくなります。

DXの推進

企業におけるDX（デジタルトランスフォーメーション）とは、「顧客視点で新たな価値を創出していくために、ビジネスモデルや企業文化の変革に取り組むことであり、単にデジタル技術やツールを導入すること自体ではなく、企業経営の変革そのもの」といった意味があります。データとデジタル技術を活用し、企業経営の変革を進めることで持続的な企業価値の向上を実現できます。

バックオフィス業務でのDXの推進の具体例として、

• 紙ベースのアナログ作業を減らし、文書管理システムや電子契約サービスを導入することにより、データの共有や検索が迅速に行えます。
• 財務会計、勤怠・スケジュール管理、人事労務システム、在庫管理に対してクラウド型システムを導入することで、業務のスピードと効率が向上し、テレワーク環境の整備にもつながります。
• RPA（ロボティック・プロセス・オートメーション）やAIを活用して、データ入力や請求書処理などの反復業務やデータ分析などを自動化します。自動化により人的ミスの減少、作業時間の短縮、AIの活用により高度な分析予測を行うことができます。

バックオフィス業務においてDXの推進を行うことで、業務の効率化や作業環境の改善につながります。

DX推進においては、経済産業省から「デジタルガバナンス・コード3.0〜DX経営による企業価値向上に向けて〜　2024年9月19日改訂」にて実践すべき事柄が取りまとめられています。ITツールを導入するだけでなく、経営者がDXを推進していく意思決定を行い、経営ビジョンと戦略を策定、外部の支援機関を適切に活用、必要な人材の確保と内部人材の育成を行い、中長期的な目線で継続的に変革を進めていくことが求められています。企業全体で取り組んでいくことが必要です。

アウトソーシング・クラウドソーシングの活用

アウトソーシングとは、特定の企業や専門業者に業務を委託することをいいます。中でもインターネットを通して不特定多数の人に特定の業務やプロジェクトを依頼する仕組みは、クラウドソーシングと呼ばれており、「クラウド」（不特定多数の人々）と「ソーシング」（業務委託）を組み合わせた言葉からできています。

バックオフィス業務において、ノンコア業務であっても作業時間のかかる契約書作成やデータ入力、請求書発行、電話・メール対応といった事務作業をアウトソーシングに依頼することで、人件費コストの削減、また従業員にはコアな業務に集中してもらうことができ、生産性の向上につながります。また、専門性が求められる業務や繁忙期に対応するため、一部のバックオフィス業務を外部に委託するのも効果的な方法です。特に、経理や給与計算、法務業務などを専門家に依頼することで、正確性と効率を向上することができます。

また、AIを活用した業務効率化や生産性向上に取り組む際には、AIの知識やスキルを持った人材確保にクラウドソーシングを活用をすることができます。フリーランスや副業人材を活用するクラウドソーシングは、社内の人材では補うことのできない専門的スキルを持つ人材を迅速に確保ができる手段です。

バックオフィス業務を効率化するメリット

バックオフィス業務を効率化することで、次のようなメリットが得られます。

コスト削減

業務効率化や自動化、クラウドソーシングの有効活用により、人件費や外注コストを大幅に削減できます。また、デジタルツールを導入することで紙や備品の使用量を減らし、物理的なコストも抑えることが可能です。

生産性の向上

ルーティン業務の効率化や削減で、従業員がより付加価値の高い業務に集中できるようになるため、企業全体の生産性が向上します。たとえば、人事部門が給与計算の自動化ツールを利用することで、採用戦略の立案や従業員の満足度向上に注力することができるでしょう。

業務の正確性向上

デジタルツールや自動化技術を活用することで、手作業による人的ミスの発生を大幅に減らすことが可能です。たとえば、クラウド会計ソフトを利用すれば、手動で計算する必要がなくなり、データ処理の正確性が向上します。特に、経理や人事などの細かい業務で大きなメリットを発揮します。

BCP（事業継続計画）への貢献

効率化されたバックオフィス業務は、BCP（Business Continuity Plan：事業継続計画）の観点からも大きなメリットがあります。BCPとは、災害や予期せぬトラブルが発生した際にも、事業を継続または早期に復旧するための計画を指します。

業務フローの効率化やデジタルツールの導入により、業務のリモート対応やデータの安全な管理、迅速な意思決定を実現できます。これにより、企業のリスク耐性を高め、非常時でも顧客や取引先への影響を最小限に抑えられます。

バックオフィス業務の効率化から企業全体の成長へ

バックオフィス業務の効率化は、単なる作業負担の軽減にとどまらず、企業全体の成長基盤を築く重要な取り組みです。業務プロセスの見直しやDXの推進を通じて、コスト削減や生産性向上、業務の正確性向上、BCPへの貢献などを実現できます。また、アウトソーシングやクラウドソーシングを活用することで、専門性の高い業務や一時的な業務負担にも柔軟に対応できます。

バックオフィス業務を効率化するためにクラウドソーシングを活用する場合は、「SkillCraft」がおすすめです。SkillCraftはスキルマッチングとタレントマネジメントの両方を兼ね備えているため、即戦力となる専門家やフリーランスを迅速かつ効率的に確保できます。

これを機に、バックオフィス業務の効率化を検討してみてはいかがでしょうか。